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福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算について

1.福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和31119日閣議決定)を踏まえ、令和410月以降において、福祉・介護職員の収入を3%程度(月額平均9,000円相当)引き上げるための措置を講じるため創設されました。

令和42月から令和49月までの福祉・介護職員処遇改善支援補助金による賃上げ効果を継続する観点から、処遇改善加算及び特定加算に加え、ベースアップ等加算により基本給等の引上げによる賃金改善を図るための制度です。

 

福祉・介護職員の処遇改善を行うものであることを十分に踏まえた上で、他の職種の処遇改善も行うことができる柔軟な運用を認めることとされています。

①加算の名称 : 福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算

②加算取得の要件

・処遇改善加算ⅠからⅢを取得していること。

・賃上げ効果の継続に資するよう、加算額(新加算)の3分の2以上を基本給または毎月決まって支給する手当(※1)などの引き上げ(賃金のベースアップ)を行うこと。

 

※1.決まって支給する手当とは、基準内賃金の手当で資格手当や役職手当に相当するもの。

③加算支給の対象

対象となる職種 : 福祉・介護職員(※2)

 

※2.事業所の判断で、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう

 柔軟な運用を認める。

④申請方法

各事業所において、都道府県に福祉・介護職員・その他職員の月額の賃金改善額を記載した計画書を8月31日までに

提出。(加算を取得しようとする月の前々月の末日まで)

⑤スケジュール

加算届出の準備から加算申請までのスケジュールは以下の通りです。

【計画書作成の準備】

①  対象者の決定

介護事業所又は福祉事業所の場合

このベースアップ支援加算は、事業所の判断で、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認められています。

 

各事業所の判断で、ベースアップの対象をどのように対応するのか、決定する必要があります。

②  ベースアップの決定

ベースアップを実施する場合、この加算の要件では賃上げ効果の継続に資するよう、加算額の3分の2以上を基本給または毎月決まって支給する手当(1)などの引き上げ(賃金のベースアップ)を行うことが求められます。

事業所では、見込額の約67%以上を賃金のベースアップに充てる必要があります。

 

引上げを見込額の何%に設定するのか決定しましょう。

③  就業規則の見直し

すでに介護職員処遇改善支援補助金を申請しベースアップに取り組んでいる事業所は、補助金から加算額へ原資が変更されるので、条項に「補助金」と記されている場合は、「加算額」へ変更するようにしましょう。

 

また、補助金申請を見合わせ同加算の取得を検討している場合は、就業規則の見直しが必要になります。

④  賃金規程の見直し

事業所によっては給付率が加算率へ変更されることに伴い支給率が変わりますので、改めて賃上げ額を再考しましょう。また、補助金申請を見合わせ同加算の取得を検討している場合は、賃金規程の見直しが必要になります。

【計画書作成】

就業規則や賃金規程を見直し、従業員代表者からの意見聴取手続きを行ったうえで、労働基準監督署に届け出ることが必要です。

計画書の作成は次の手順で行って下さい。

基本情報入力シート⇒様式2-4⇒様式2-1

 

計画書の届出で必要な書類は、以下の通りです。

加算の届出に提出する計画書は以下の通りです。

・基本情報入力シート・・・・・・・・・・・・提出不要

・別紙様式2-1・・・・・・・・・・・・・・・・・要提出

・別紙様式2-4・・・・・・・・・・・・・・・・・要提出

・その他:本計画書の記載内容を証明する資料は、各事業所において適切に保管いただくとともに、指定権者からの求めがあった場合には速やかに提出してください。

                                

 

また、届出を提出する前に対象職員へ書面にて周知して下さい。

2. 賃金改善の計画期間

8月末までに本加算の届出を提出して受理された場合、加算の申請は10月からの開始になります。この場合、期間は10月から翌3月までになります。

9月以降に届出を提出する場合は、提出した月から2か月後の月から翌3月までの期間となります。

 

例:9月に届出提出⇒11月から翌年3月

3.福祉・介護職員処遇改善支援補助金との違い

福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算は、算定要件等は福祉・介護職員処遇改善支援補助金と変わりありませんが、事業により『算定率』が変わります。

 

1: 訪問介護は2.1%から2.%へ変更されています。

2: 児童発達支援は1.9%から2.0%へ変更されています。

 

詳しくは以下の加算率一覧表を参照して下さい。

また、補助金が国費にて賄われることに対し、『加算』は介護報酬の中で支払われますので、『ご利用者様の負担が発生する』という事が大きく違います。

4. 介護職員等ベースアップ等支援加算の加算額

基本報酬に「介護職員処遇改善加算」及び「介護職員等特定処遇改善加算」以外の加算・減算を加えた単位数に、サービス種別事業所ごとに定められた加算率(下図参照)をかけ合わせて単位数を算出する。

5. 処遇改善に関わる加算全体のイメージ

既存の処遇改善加算と特定処遇改善加算、令和4年10月の臨時改定によりベースアップ支援加算が加わり全体的なイメージを以下に示しました。今年度から処遇改善は3つの加算区分で算定されます。

6. 各処遇改善加算の違い

処遇改善加算と特定処遇改善加算、新たに算定されるベースアップ支援加算の支給対象や支給方法について以下の表にまとめました。それぞれ異なりますので注意して下さい。

7. その他

ベースアップ支援加算を原資に対象職員へ月々決まって支払う手当として支給する場合、年度末に余剰額を相殺する必要があります。余剰額を年度末の賞与として支給する場合、計画書の「賃金改善を行う給与の種類」に手当の他に賞与の選択をして下さい。

【留意点】

〇加算区分を変更する場合

新たに加算を取得する場合や、加算区分を変更する場合は、計画書とは別に、介護給付費算定に係る体制等に関する届出書及び体制等状況一覧表の提出が必要です。体制届の提出期限は、計画書の提出期限とは異なります。また、サービスによっても期限が異なりますので、確認の上、必ず期限までにご提出してください。

 

〇職員への周知

加算の届出を行った事業所は、当該事業所における賃金改善を行う方法等について、本計画書を用いて職員に周知するとともに、就業規則等の内容についても職員に周知してください。また、介護職員から加算にかかる賃金改善に関する照会があった場合は、当該職員についての賃金改善の内容について、書面を用いる等して、分かりやすい回答に努めてください。

 

 

以上を参考に加算取得の準備を進めて下さい。