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事業継続計画(BCP)の策定について

Ⅰ.今後の課題について説明

介護・障害福祉事業所は、高齢者や障害者、その家族等の生活を支える上で欠かせないものであり、緊急事態宣言などの制限下であっても、感染防止対策等の徹底を前提とした継続的なサービスの提供が求められています。

 

また、事業継続計画(BCP)の策定を含む感染防止対策や災害対策の強化に関する取り組みは、令和3年の法改正により令和6年4月1日より義務化されます。現在は、経過措置期間中でそれまでに整える必要があります。

今回は、感染に関する事業継続計画(BCP)についてブログでまとめています。

是非、参考にして取り組んで下さい。

Ⅱ. 事業所で取り組む主な課題

1.   感染対策委員会の設置

・構成メンバーの役割分担を決める。

・委員会規程を策定する。

・感染対策委員会を中心に感染の事業継続計画(BCP)の策定をまとめる。

・法人単位まとめ各事業所の取り組みを一元的行っても差し支えありません。

 

2.  感染症の予防及びまん延の防止のための指針を策定

・法人で一元的に指針をまとめても差し支えありません。

・法人の基本方針を定める。

 

3.  事業継続計画(BCP)の策定

・事業継続計画(BCP)ガイドラインと感染マニュアルに沿って策定

・厚生労働省が公表しているフォーマット(Excel)を参考に策定

 

4.  事業継続計画(BCP)に関する研修や訓練を実施

・研修と訓練を年2回以上開催。

 

・年間研修計画に加える。

 

Ⅳ. 感染の事業継続計画(BCP)の取り組みのポイント

1.   事業継続計画(BCP)ガイドラインと感染マニュアルに沿って策定すること。

・平時の対応、初動の対応、感染(疑い)者発生時の対応に分けて策定すること。

・業務については、職員の出勤率に応じて継続する業務、追加する業務、削減する業務、休止する業務の4つに分類して計画を策定すること。この場合業務の優先順位を決める必要があります。

・備蓄品は、利用者と職員の1日使用料を算出して整えること。(マスク、シールド、エプロン、ハンドソープなど)

 

2.  事業所内外の連携を予め想定して策定すること。

・緊急時連絡網では事業所内部と外部機関の連絡先一覧を作成すること。

 

・利用者の家族や医療機関の情報を得てまとめること。

 

3   初動時のレベルを予め決めておくこと。

 

4.  法人内で役割分担と決めておくこと。

・意思決定者、連絡担当、相談窓口などの役割を決める。

 

5.  定期的な委員会会議と研修・訓練を計画・実施すること。

 

 

6.  5月8日から新型コロナウイスルは感染法上2類から5類へ移行されました。変更された事項を予め確認しておきましょう。

 

Ⅳ. 具体的な策定方法

感染の事業継続計画(BCP)策定は、厚生労働省が公開している資料を活用すると効率的に行えます。

厚生労働省のHPへアクセスして、必要な資料を所得しましょう。

 

 

今回はエクセル形式のフォーマット(ひな形)を活用した策定方法を紹介します。

厚生労働省にて公開されているフォーマットは、介護事業所はエクセル形式、障がい福祉事業所はワード形式で入手することができますが、障がい福祉事業所も介護事業所用のエクセル形式を活用することをお勧めします。

概ね内容は支障ございません。

 

1.   フォーマットの構成

    表紙 ②目次 ③本文 ④補足資料1から4 ⑤様式1から8

 

フォーマットは、黒字、赤字、青字で記載されています。

・黒字の部分は、BCPの内容を確認し、必要に応じて修正・追加・削除してください。

・青字の部分は、BCP作成の手順です。手順に従い補足・様式資料を作成してください。

・赤字の部分は、施設名等の固有のものですので、修正してください。

 

2.  本文

    主管部門、全体像などをまとめます。

    平時の対応

感染がまん延する前の感染拡大の予防策を予め準備しておきます。

対応事項:体制構築と整備、感染防止に向けた取組の実施、防護具、消毒液等備蓄品の確保

    研修・訓練の実施、BCPの検証・見直しで構成されています。

3.  初動対応

職員や利用者で感染疑い者が発生した際の初動対応について、迅速な行動ができるよう準備しておきます。

 

4.  補足1

補足1は新型コロナウイルス感染(疑い)者発生時のフローチャートです。

 

5.  補足2

補足2は、新型コロナウイルス感染(疑い)者発生時の報告・情報共有先の連絡手順です。

この手順を基本に様式2の外部連絡先へ情報発信します。

  

6.  補足3

補足3は、情報伝達の流れです。

感染者(疑い)発生時の状況を訓練(シミュレーション)等でイメージし、赤字の部分を検討・確認します。

 

7.  補足4

補足4は、様式6の備蓄品の目安計算シートです。

これを参考に事業所の備蓄量を算出します。

 

8.  様式1

様式1は、感染対策委員会の役割と担当する職務をまとめたものです。

小規模事業所の場合は、一人に職務が偏らないように工夫する必要があります。

 

9.  様式2

様式2は、施設外・事業所外連絡リストです。

事業所の状況に応じて、地域の自治体や保健所、医療機関などを予めまとめておきましょう。

 

10.様式3

様式3は、職員、利用者 体温・体調チェックリストです。感染(疑い)者が発生した場合、クラスターを未然に防ぐことが重要になります。一定の期間(1週間程度)を目安に健康状態をチェックします。

 

11.様式4

様式4は、感染(疑い)者・濃厚接触(疑い)者管理リストです。対象者の状況を把握して必要に応じ

外部機関へ情報を提供する場合は、この資料が役立ちます。また、発症者の行動をまとめておくと感染予防策に効果的です。

 

12. 様式5

様式5は、職員緊急連絡網です。初動対応の情報共有を行ううえで重要になります。電話やラインなどを複数活用して有事に備えましょう。

 

13. 様式6

様式6は、備蓄品リストです。補足4の資料で算出した備蓄量を整えておきましょう。また、薬剤や抗原キットなどは、使用期限がありますので期限切れに注意しましょう。

 

14.様式7

 

様式7は、職員の出勤率に応じた業務の調整です。前項で解説したように優先順を事業所内で検討して、継続する業務、追加する業務、削減する業務、休止する業務の4つに分類しましょう。

 

 

Ⅴ. まとめ

感染の事業継続計画(BCP)策定は、基本的にご説明した内容で取り組んでいただきますが、法人代表者一人でまとめると大変な作業になります。他の職員の協力を得ながら必要に応じて専門家などを交え進めることをご提案いたします。

 

また、感染対策に関しては、医療的な知識や技術を要するので医師や看護師などの支援が必要と思われます。